企業にできるのは退職を受け入れることだけなのか・・・
最近、入社から2~3年までの若手従業員を中心に、退職代行サービスを利用して退職するケースが増えています。
このサービスは、従業員本人が会社と直接コミュニケーションを取らずに退職できるため、特にコミュニケーションが苦手な人にとっては魅力的に映るようです。
弁護士や労働組合を通す形で「以後の連絡はすべて、代理人⚫︎⚫︎を通してください。本人への連絡は控えてください」と通達され、実際問題、本人との連絡ができなくなるということがほとんどです。
法律的に見ると
民法では、退職には原則として2週間の予告期間が必要とされています。しかし、多くの企業が独自のルールを設け、より長い予告期間を求めることが一般的です。
退職代行サービスを利用した場合も、この法的枠組みは変わりませんが、多くの場合、退職の意思が固いので、引き継ぎさえもできないとなっています。
企業としての対策
一般的には次のようなことが言われています。
▶️コミュニケーションの改善:従業員が退職代行サービスに頼る前に、職場内のコミュニケーションを改善し、従業員が直接相談しやすい環境を作ることが重要です。
ただ、現実には「退職したい」「仕事を続けることが難しい」と相談してきた社員に「もう少し頑張ってみよう」と励ましたら、退職代行サービスを使って退職となったという話も聞きます。なかなか難しい問題なのです。
▶️引き継ぎプロセスの確立:退職の場合は引き継ぎをすること。退職代行は利用しないこと。貸与しているパソコンなどは返却することなど、引き継ぎプロセスを明確にしておきます。
法的な拘束力はありませんが、企業独自のルールを設定することは可能です。
企業としての対応
引き継ぎが行われない場合、企業は勤怠不良とみなし、勤怠手当等のカットを行うことができます。
こういった早期退職者を防ぐ目的で研修費用等は、1年未満は貸与としている会社もあります。
研修を終えて仕事はせずに退社し、貸与しているパソコンの返却がないなど、実際に発生した損害には損害額の請求もできますが、事前に罰金・違約金などを規定しておくことはできません(損害賠償予定の禁止)。
退職を会社都合にして欲しいといった要望が出ることもあるようですが、これは認められないので、自己都合退職での処理で問題ありません。
「退職代行サービス」を利用する従業員は、企業にとっては頭が痛い問題となっています。