通報者を守ることが初めの重要な対応
多くの場合、被害者が相談をすることで、ハラスメントは発覚します。
相談先は、社内に設けられた相談窓口(人事・総務というケースも多いよう)です。また、相談窓口を設けるまでもない小規模な事業所では、上司だったり、上司の上司だったりとなるケースもあります。
この時に一番大切なのが、相談者(通報者)を守ること。
通報者に不利益を与えないように配慮することが必要です。
報復行為をさせないためには、報復行為には重い制裁があることを通達しておくことも必要でしょう。
企業によっては、相談窓口を法律事務所など、社外の第三者としているケースもあります。
個人情報保護の徹底、匿名でも受け付けるとしていることから、ハラスメントを目撃した周囲が通報することも可能になっています。
相談窓口が第三者でも事例によっては、ハラスメント被害者・加害者が特定されてしまう可能性がありますが、この場合も通報者を詮索する行為を禁止することも周知しておくことも重要となります。
ハラスメントの訴えがあれば、双方の話を聞くことが必要になります。この聞き取りも第三者であれば、話しやすいということがあるようです。
外国人労働者が増える中でのコミュニケーション齟齬
相談の一つに、外国人労働者がハラスメントに耐えかねて退職後に労働基準監督署へ駆け込んだというケースがありました。
仕事に対する姿勢はまじめでしたが、日本語での指示を聞き取りきれなかったようで仕事ができていなかったということが発端でした。
ハラスメントでよく誤解されるのが「注意もできないのか?」というものです。
当然ですが仕事の指導や注意はハラスメントには当たりません。
しかし、注意だとして怒鳴り散らしたり、感情的になって人格否定をしたり、長時間にわたったりとなると、注意と言えるのか問題です。
外国人労働者がミスをしたのは事実でしたが、報復行為が怖くて職場内では言い出せず、事実を録音のうえ、退職をして監督署への通報するという事態になりました。
労働基準監督署が相談だけで動くことはまずありませんが、録音があったことで介入せざるをえない事件となったわけです。
事実発覚後、会社は事態を重く受け止めハラスメント加害者に事情を確認したところハラスメント加害者はすべてを認め退職届を提出し自主退職となりました。
ハラスメントは起こさせない、万一起きても社内で解決できる体制をふだんから整えておくことが大切です。