60時間を超える残業代50%増に
2023年4月1日から、月60時間を超える時間外労働の割増賃金率が引き上げられました。
中小企業でも大企業と同じ50%となりました。
これまでの25%から50%へ、一気に倍になるので、大きな改定ですね。
1日8時間、1週40時間を超える労働については25%の割増、さらに60時間を超えると50%の割増です。
出典:厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/content/000930914.pdf
ちなみにここでいう中小企業に該当するかは企業単位で判断されるそうです。
働き方改革の推進に絡んで、大企業では5年ほど前から始まっていましたが、これまで中小企業は免除されてきました。
中小企業ほど、マンパワーの比重は大きいので、技術や能力を持つ特定の人に給与の増額が見込まれます。
「大変だ!」という思いに駆られますね。
対応策:翌月・翌々月の労働時間で調整が可能
<例>
6月の残業が62時間だったとします。
60時間分は25%、2時間分が50%で計算されることになります。
対応策として、概ね2か月以内に超過分の労働時間を調整することができます。
2時間分を翌月または翌々月の労働時間に充当するという方法です。
通常の勤務時間が9時-18時であれば、11時-18時勤務の日を1日つくるというものです。
概ねとされているのは、職種や職場の事情で、忙しい時期が3か月続くといった場合には3か月以内の調整が認められるケースもあるからです。
たとえば税理士の仕事は3月が超多忙。そのまま4月、5月も忙しいといったケースはよくあるので、この場合は6月に調整が可能です。
あらかじめ労使協定を締結しておくことが前提になります。
50%支払いが現実的なケースも。まずは金額の把握を
この調整ができれば、働き方改革の推進という面でも、支出が抑えられるという面でも良いのでしょうが、中小企業の場合、その人がいないと仕事が回らないというケースも多いのが実情ではないでしょうか。
当社の顧問先でも・・・
従業員20人ほどの企業で、3人について月平均60時間超の残業がありました。
しかし、労働時間の調整も難しいという状況です。
計算してみたところ、年間で20万円ほどの支出増加が見込まれましたが、仕事を回す、利益を出していくことを考えて許容範囲内という判断でした。
いずれにしても残業時間は80時間を超えると過労死ラインと言われ、100時間を超えてはいけない決まりがあります。
また年間の残業時間は最大でも720時間までとされているので、これを月平均にすると60時間です。
時間外労働(残業)には、通称「36協定」と呼ばれる労使協定の締結も必要になります。
詳細については、お気軽にお問い合わせください。