懲戒処分も就業規則に定めを

どんなときに懲戒処分が必要になるのか

ニュースなどで懲戒解雇という言葉を聞くことがあります。
横領事件、暴力沙汰など刑事罰レベルの事件となれば、当然、懲戒解雇なのでは?と思いますよね。

懲戒解雇は、「従業員が極めて悪質な規律違反や非行を行ったときに懲戒処分として行うための解雇。就業規則や労働契約書にその要件を具体的に明示しておくことが必要です」と労働基準法の説明にもあります。
https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-roudoukyoku/library/tokyo-roudoukyoku/seido/kijunhou/shikkari-master/pdf/kaiko.pdf

懲戒解雇は懲戒処分の一つ。その種類には次のものがあります。
<懲戒処分の種類>
・始末書(または譴責とも言う)
・減給
・出勤停止
・降格降職
・諭旨解雇(諭旨退職とも言う)
・懲戒解雇

始末書(譴責)とは、いわゆる反省文を書いて提出すること。
減給は、1回の額が平均賃金1日分の半分まで、総額が月給(1賃金支払期における賃金)の10分の1未満。
出勤停止は、期間中の給与は支払わない。
降格降職は、役職手当のカットや、基本給のランクを下げるなど。
諭旨解雇(諭旨退職)は、転職時に不利益とならないように自主退社の形をとること。
懲戒解雇は、会社が雇用者(従業員)に対して下す最も重い処分。履歴書にも残る(記載しないと経歴詐称とされる)処分です。

数百万・数千万円の横領や、暴力で怪我をさせて刑事事件になるなどは、わかりやすいですが、悩ましいのが次のようなケース。

Case01▶出張時の交通費をごまかしていた
 飛行機をインターネットで予約して領収書を受け取ったあとキャンセルして新幹線を利用。
 差額を懐に入れていたというもの。発覚時には累積で約15万円に。

Case02▶清掃会社の従業員が訪問先で個人的に追加作業費を受領
 会社を通すと2万円になるところを、5000円で請け負うと、
 追加作業費を懐に入れていたことが発覚。

確信犯で繰り返していたので、本人も事実を認め、労働基準監督署でも解雇予告除外認定を受けることができたということがほとんどです。
Case02のように少額な案件ではありますが、会社の経費を5,000円ごまかしていたのと、クライアントから5,000円をごまかしお金を受け取っていたというのであれば、同じ金額であっても断然クライアントからごまかしお金を受け取っていた事実がある方が会社の信用問題ともなってくるため解雇予告除外認定は受けやすくなる傾向にあると思います。

また、処分保留などにして放置しておくと解雇予告除外認定に当たらないという判断をされる可能性も出てきます。調査中につき処分保留とする期間はあっても、明らかな放置、長すぎる処分保留は問題になる可能性もあるということです。

厳しい処分に会社が躊躇しているうちに、問題社員がやる気を失い、結局、社員が退職届を提出し、退職に至ったというようなケースも見ています。

金品横領以外にも、設備の破損など「故意又は重大な過失により会社に重大な損害を与えたとき」に当たるケースや、遅刻などの問題行動も懲戒処分の対象にできます。

懲戒処分を下すには
「就業規則や労働契約書にその要件を具体的に明示しておくことが必要」です。

厚生労働省のサイトに「モデル就業規則について」があります。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/zigyonushi/model/index.html


業種によって入れておいたほうがよい項目などもあるので、就業規則を策定する際には、当事務所にご相談ください。就業規則は従業員との約束事の定めです。必ず作成してくださいね。

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