住民税の減税処理と、所得税の減税処理と
ここからは企業・組織内での減税処理についてです。
これまでどおり、住民税は前年1月1日から12月31日までの収入(合計所得)で、所得税は今年1月1日から12月31日までの収入(合計所得)で算出しています。
ちなみに役員も年収2000万円以下であれば、定額減税の対象です。
住民税の処理については各市区町村が通知
住民税の定額減税は1人あたり1万円。
扶養家族(年収103万円以下)を含めて人数×1万円の減税で、各市区町村から定額減税された住民税額が通知されます。各市区町村も大変だったと思います・・・。
企業・組織側で計算する必要はないということです。
ただ、市町村から届く「特別徴収税額通知書」が紙にプリントしたものである場合は、いつもどおり納付額が記されているだけで、定額減税額は記載されていない可能性が高いです。
従業員用の通知書には必ず記載がありますが・・・。
住民税は6月にまとめて減税
減税処理の方法は・・・
例えば住民税が240,000円の人の場合(扶養家族0として)。
昨年までであれば12等分して、毎月20,000円の住民税を天引きして、給与を支払います。
今年については扶養家族0なので、本人1人分の1万円減税した230,000円の住民税を11等分して、給与を支払います。
6月分の住民税を0円として、残りの11か月で等分して払うという処理方法です。
各市区町村から届いた住民税額の通知書に、6月分0円として、来年5月までの住民税学が記載されていると思います。
23万円を11等分して、7月以降に各月20,900円の住民税を天引きすることになります。
一昨年と昨年と収入が同じだったとすると、7月以降の天引きは少し増えているように見えるということも起き得るということですね。
所得税の処理は最終的には年末調整で行う
所得税の定額減税は1人あたり3万円。
扶養家族(年収103万円以下)を含めて人数×3万円の減税です。
所得税については、今年の所得見積額に基づいて順次減税していき、今年の12/31時点の最終的な年収に基づいて年末調整します。
処理の煩雑さを考えれば、年末調整で一括がカンタンなのですが、少しでも早く減税効果を感じてほしいということから、こちらも6月スタートで、月次減税が必要です。
所得税は月次減税
月次減税とは、従業員ごとに確定した給与・賞与をもとに計算される所得税から減税することです。
令和6年6月1日以降に支払われる給与・賞与からスタートします。
6月の給与が確定して、所得税が5,000円だったとします。
扶養家族が0の場合、定額減税は30,000円なので、まずは5,000円を減税。定額減税の残りは25,000円です。
7月の給与・賞与から計算される所得税が、それぞれ7,000円と20,000円だったとして合計27,000円から残っている25,000円を減税すると納税額は2,000円になります。
このようにして、30,000円に達するまで月次で減税を行います。
企業・組織は、定額減税の対象者を把握し、月次の減税額を算出、給与処理、納税処理することになります。
給与明細書には、月次減税額を明記する必要もあります。
対象者の把握とは、令和6年6月最初の給与(賞与)の処理までに提出された申告書などに基づいて従業員ごとに扶養家族の人数を把握するということです。
6月の時点で年収103万円以下(=合計所得見積額48万円以下)の配偶者や子ども・親などの扶養親族数を把握します。
なお、月次減税は、今年の合計所得が明らかに1805万円(年収2000万円)を超える場合でも、一旦実施するので、6月1日時点で在籍している従業員本人は月次減税の対象です。
子どもが生まれた!結婚した!などの場合については次の記事で解説します。