社員の解雇には手順を踏む必要がある
解雇予告手続きについて詳しく調べることになったので、解雇予告手当についてお伝えします。
まず解雇予告手当とは、従業員に対して30日以上前に解雇予告をせずに解雇をする場合に支払いが義務付けられているものです。
たとえば、指示した仕事はしているが、挨拶をしない、社風に合わない、出勤はしているが働きが給与に見合わないので解雇したいというような場合は、会社都合の解雇となり、30日前までに解雇の通告をする必要があります。
この30日前予告の代わりに、平均賃金の30日分を解雇予告手当として支払い、予告を免除するという方法です。
会社都合の解雇は、納得がいかないので裁判にというケースもあるので、雇用条件などは慎重に決めておき、事前に専門家に相談して行動するということも必要になるわけです。
労働基準法に定められる試用期間である入社日より14日間又は期間を決めて雇用している期間満了の退職などの場合は解雇予告は不要。
横領や暴行事件など、明らかな犯罪や事件を起こした場合は、懲戒解雇の対象となり、労働基準監督署から除外認定を受ければ、解雇予告も解雇予告手当も不要です。
よくあるケースが、入社間もない社員が無断欠勤となり、本人に電話を入れても応答がない、緊急連絡先に電話を入れても繋がらない、手紙を送って正式に解雇の手続きをとる場合です。
就業規則には、無断欠勤については「14日以上の無断欠勤は懲戒解雇」という記載がほとんどの就業規則には記載されていると思います。
この場合14日以上無断欠勤が続いた後、労働基準監督署で、解雇予告除外認定を受ければ、即時解雇が可能になります。
労働基準監督署に書類を提出
(14日以上の無断欠勤の記録/就業規則/本人の連絡先など)
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労働基準監督署による本人への事実調査
(通常2週間程度)
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労働基準監督署が認めれば「解雇予告除外認定」受領
ただし、このケースの場合、本人と連絡がつかないので、労働基準監督署の事実確認調査にもかなりの時間がかかるか、調査不能となることも考えられます。
懲戒解雇の場合の社会保険料
この場合で悩ましいのが、社会保険料の計算です。
月末締めの給与計算の会社の場合、無断欠席となり、規定に準じれば実労働日14日を過ぎたところで懲戒解雇の対象となります。(就業規則に歴日数で14日カウントするなど具体的な記載があってもいいと思います)
懲戒解雇の手続きを行い、解雇予告手当を準備している間に月末を過ぎると次の月も社会保険料が発生します。
仮に1か月分の解雇予告手当を支払い相殺できるかを調べましたが、解雇予告手当は退職手当に相当する手当となります。
退職手当のため、社会保険料は引いてよいのかが問題でした。
賃金であれば、社会保険料、住民税、所得税は法定控除として引けますが、退職手当からの社会保険料の控除は本人の同意が必要です。
監督署からの見解を確認しても解雇予告手当からの社会保険料の控除は本人の同意が必要なので、あまりよろしくないという見解もあり結論としては難しいようです。
ちなみに、支給の基準(計算方法)が明確になっている退職金は賃金扱いとなるので、法定控除可能であろうという見解もございました。
解雇予告除外認定を受けて懲戒解雇をするにしてもなかなかの日数がかかるため、その間に月をまたぎ、無断欠勤のためお給料がなしの場合でも発生してしまう社会保険料の徴収をどのように徴収するかというのも考えた方がよろしいと思います。
その場合は懲戒解雇にこだわらず諭旨退職(解雇)を通知し、自己都合退職として処理をするという方法もあります。
判断が難しい問題は、関係各所にも確認をとっていますので、何かあればご相談ください。