在籍日数(暦の日数)=歴割の考え方と注意点
前回の記事に続き、中途入社・中途退社するスタッフの給与計算についてお伝えします。
「月の途中での入社や退職時の日数の考え方は、在籍日数(暦の日数)で算出することが多いです。(実出勤日で計算しても間違いではありません)。通称歴割と言います」という話の続きですね。
土日祝日を定休日としている企業の場合は、月の平均出社日数は約20.5日。
計算式は、月給25万円として算出します。
例えば
<1月からの採用の場合>
お正月休みなどで今年(2024年)は1月8日(日)まで年末年始休業で、1月9日から出社という企業では、前職の社会保険が途切れないようにすることが好ましいとされていることもあり、1月1日入社とするケースがほとんどです。
1月の欠勤がない場合は、月給25万円を支給となります。
<中途入社・中途退社が月の途中の場合>
1月16日入社の場合だと、在籍日数(暦の日数)16日で算出し、
25万円✕16日÷31日=129,032円(支給額)
1月16日退社の場合も、在籍日数(暦の日数)16日で算出という考え方です。
もちろん出勤日数(1月は三が日もあるため17日間の就労と考えます)で求める方法もあります。
この場合は、
1月16日退社の場合、出勤日6日。88,236円支払い。
25万円✕6日÷17日=88,236円支払い。
1月16日入社の場合、出勤日12日。
25万円✕12日÷17日=176,470円支払い。
差が大きいように見えますが、祝日が多い月なども考えるとしてどちらが公平かと言えば在籍日数(暦の日数)での計算になると思います。
1日だけ出社などのケースでは最低時給に注意を
ただし、1日だけ出社して辞めてしまったというケース(実際にあります)では、在籍日数で計算すると最低賃金を下回るということも起こり得ます。
25万円✕1日÷31日=8,065円 時給(8時間労働の規定とする)にすると1,008円で、
東京都の最低時給1,113円(2023年現在)を下回ります。
この場合は月の平均出社日数(20.5日とします)で算出します。
25万円✕1日÷20.5日=12,196円です。
日曜日に退社となる場合、例えば令和6年2月4日(日)退社の場合、出勤日は1日(木)、2日(金)の平日2日間。今年は29日あるので、25万円✕4日÷29日=34,483円(時給1,077円)も、東京都の最低時給を下回るので、平均出社日数で算出します。
話は変わりますが、
岸田総理は最低時給を2030年代半ばまでに1,500円まで引き上げると言っています。
現状、土日祝日休みで8時間勤務、東京都では、
東京都1,113円✕平均出社20.5日/月✕8時間=182,532円が最低月給。
時給1,500円になれば246,000円が最低月給となります。
残業や深夜勤務の規定もあり、企業も利益を上げていかないと立ち行かなくなりかねません。
雇用はますます厳しくなっていきそうです。
給与計算、賞与計算など、お困りのことがあれば、気軽にご相談ください。